3104

刺青の3104のレビュー・感想・評価

刺青(1966年製作の映画)
3.5
好きな監督なれど、60年代真ん中頃からの増村は“エグみ”が増して、観ていて少し疲れてしまう。なのでこの作品もなんとなく避けていたのだが、それ以外に特に観ない理由もないので今回の「若尾文子映画祭2020」でようやくご対面。

増村作品における「悪女」寄りの彼女は、悪いなりにもそれ相応の“義”や“戒め”があるものだが、ここでの彼女演じる主人公・お艶はその要素に乏しく、観ていて新鮮さ(と若干の違和感)が感じられた。新鮮さは結構だが、主にそのせい~他にも理由はあるのだが~で物語自体には終盤までどうにもノレず。彼女を観るという観点でも物語を楽しむという観点でも、冒頭の「女郎蜘蛛を宿す前」がピークだったのかもしれない。

刺青によって人生が変わり、またその描写がお艶よりも秀でていたのは恋人の新助と彫り師の清吉のふたり。特に映画自体を“介錯”しにくる清吉の謎の彷徨ぶりは、ある意味本編よりも面白い。
3104

3104