回想シーンでご飯3杯いける

ドリーマーズの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

ドリーマーズ(2003年製作の映画)
3.6
五月革命前夜の若者の姿を描いたフランス映画。そう言えば、日本にも同じ'60年代の学生運動に参加する若者を描いた「無伴奏」という映画が'16年に公開されたが、国は違えど、共通するムードを持つ作品である。

「無伴奏」のレビューの中で、僕は「音楽がロックだったらもっと良かったのに」と書いたのだが、この「ドリーマーズ」は冒頭のジミ・ヘンドリックスに始まり、ジャニス・ジョプリン、ドアーズ、ボブ・ディラン等、当時のロックがふんだんに使われていて、敢えて有名曲を避けたかのような選曲も粋で、登場人物の先鋭的なスタンスが感覚的に伝わってくる。

主人公マシューを演じるのは「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」でトミー・ノーシス役だったマイケル・ピット。彼がセクシーな双子姉弟と性的に倒錯した共同生活を送る様子を描いた、かなり刺激的な作品だ。マイケル・ピットは「ヘドウィグ~」の時よりも更にセクシーで、ぼかしが必要なレベルで脱ぎまくっているので、女性的に眼福な作品であるのかもしれない。

主要3人は映画マニアでもあり、作中で古い映画の話が数多く出てくる。'30~'50年代の映画が好きな人にはそこも楽しめるポイントだろう。本作自体もまるで'60年代当時に作られたかのような質感で、映像と音の両方で当時の雰囲気に浸る事が出来る。五月革命が始まるラストシーンが何とも切ない。