猟奇殺人と性衝動の相互関係を察した女性(桂たまき)が、同僚の青年(林ゆたか)を意のままに操りながら、標的の女性たちを血祭りにあげていく。秘められていた猟奇性の覚醒を描いている、日活ロマンポルノ。
ヘラヘラ笑いながら自傷行為する狂女(山科ゆり)との接触を口火に、八城夏子、岡本麗、丘奈保美など、オールスター女優が次々と標的にされていく。殺人行為に萎縮していた青年が、本物のサイコキラーに豹変するまでの過程が醍醐味となっている。
殺人鬼の青年が、パティシエという設定のため、ケーキナイフを凶器に使用。相手を刺殺すると、オシャレなスキャット音楽が流れて、青春ドラマの雰囲気になるところが笑える。洋菓子店リコルヌが協力しているが、撮影隊はポルノを隠しているに違いない。
「青年単独での犯行=浮気行為」という拗れた性観念へと落とし込んでいく語り口が絶品。まさに「ピカレスクロマンポルノ」と呼ぶにふさわしい秀作。