サマセット7

戦慄怪奇ファイル コワすぎ! FILE-04 真相!トイレの花子さんのサマセット7のレビュー・感想・評価

3.7
オリジナルビデオ「戦慄怪奇ファイルコワすぎ!」シリーズ第4弾。
監督は「ノロイ」「貞子vs伽倻子」の白石晃士。
主演はシリーズ通じて大迫茂生と久保山智夏。

2人の高校生菜々と英里は、廃校となった母校に深夜潜り込み、恐ろしい体験をする。
ディレクター工藤仁(大迫)、アシスタント市川美穂(久保山)、カメラマン田代正嗣(白石監督自身)は、「トイレの花子さん」の呪いにより、英里が危険にさらされていると判断し、霊能力者真壁栞の助けを借りて、原因となったと思しき学校に赴くが、次々と超現実的な事態が巻き起こり…。

いわゆるフェイク・ドキュメンタリー形式で作られた、オリジナルビデオ・ホラーシリーズ第4弾。
シリーズを重ねるごとに評判を高め、今では白石監督の代表作と言われる。

シリーズの特徴であるジャンルの越境感は、今作で絶頂に達する。
序盤はいわゆる学校の怪談なのだが、途中から見事なジャンルのツイストを見せてくれる。
POVで撮られた映像や合成された特殊効果は実にチープなのだが、ストーリーに引き込まれて気にならない。

過去三作と比較して、最もプロットが練られた作品だと思う。
基本的にPOVでキャーキャー言いながら集団が走り回っているだけなのに、こんなに面白くなる、というのはどうかしている。
中盤以降なかなかの疾走感で、伏線回収も巧妙。2人の少女にまつわる隠された真相もそれなりに納得感がある。
特にシリーズ中でも今作が評価されているのが理解できる。

今作では真壁という本職がいるため、工藤を含め撮影クルーの活躍や暴走はやや控えめ。
真壁の頼もしさたるや尋常ではない。
客観的に見れば胡散臭いことこの上なく、真顔で呪文を唱えるあたり笑えるはずなのだが、POVを通じて超常現象を共に「体験」することで、いつしか違和感はなくなってしまう。

今作のテーマは、2人の女子高校生に限れば、贖罪と成長、ということになろうか。
とはいえメッセージ性やテーマ性よりも、面白さやビックリ感を重視している点は相変わらずだ。

ますます快調で、シリーズ中でもよく出来た第4作品目。
これは最後まで見届けるしかない。