ブタブタ

ウォッチメンのブタブタのネタバレレビュー・内容・結末

ウォッチメン(2009年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

『バットマンvsスーパーマン』のプロローグ『マン・オブ・スティール』はクリストファー・リーブ版の本来のスーパーマンらしさ、ファンがスーパーマンに抱く基本イメージ、普段は頼りない少しお間抜けな男が実はスーパーヒーローで地球の危機から近所の人達迄、子供が滝から落ちたり車に引かれそうな犬までも颯爽と現れ助け解決し笑顔で去っていく、そういった「スーパーマンらしさ」が皆無でスーパーマン誕生のくだりはそこそこにいきなりゾッド将軍一派とのバトルに突入してしまいますが、嘗ての明るく明朗なスーパーヒーローと言う物をもう説得力を持って描く事が現代においては不可能なのかも知れません。
マン・オブ~は『スーパーマン冒険編』のいわばリメイクですが、クリストファー・リーブの『スーパーマン』にあたるマン・オブ~のスーパーマン誕生編とも言うべき作品、精神的な続編ならぬ精神的な前編がこの『ウォッチメン』の様な気がします。

ザック・スナイダー監督はインタビューでウォッチメンに続きウォッチメンと並ぶアメコミ最高傑作と評される『バットマン・ダークナイトリターン(以下BDR)』の映画化を企画していて『BDR』は米ソ冷戦を背景に政府の手先に成り下がってしまったスーパーマンと老いたバットマンが戦うと言う話でパワードスーツを着てスーパーマンに挑むバットマン、スーパーマンが「敵」として描かれる部分等影響を受けているのは間違いありません。

ウォッチメンはそれぞれのキャラクターが明らかにDCヒーローのダークサイドやアリカチュア又はパロディでありそれぞれにはモデルが居るのですが映画の中での役割から見るとDr.マンハッタン=スーパーマン、ナイトオウル2世=バットマン、コメディアン=キャプテンアメリカと言った所でしょうか。

人智を超えて「神」に等しい存在に成ってしまったDr.マンハッタン
から見れば人間等「白蟻」でスーパーパワーを持ちながら目の前で殺される女性に何の関心も持てない救う事をしないのは当然の結果で恐らくはその人間に対する無関心さをオジマンディアスに突かれてDr.マンハッタンは大量虐殺者の汚名を着せられ地球から放逐される。

実質的な主人公であるダークヒーロー・ロールシャッハと黒幕であり実質的な悪役のオジマンディアス。
この2人はDr.マンハッタンに対して「NO」を突きつけ最後迄屈せず結果的にマンハッタンを追い払った。
マンハッタン=スーパーマンを倒す事に成功した?
2人が協力する事はなかったのですがオジマンディアスはその大資産とテクノロジーと奸計で、ロールシャッハは己の信念を絶対に曲げずマンハッタンに屈しなかったという精神でそれぞれ「神」であるマンハッタンに挑んだと思います。

オジマンディアスとロールシャッハはそれぞれバットマンとジョーカーを解体してまた2人に再構築した様な双方が完全の正義とも悪とも言えない複雑なキャラクターに思えます。

『BvS』ではバットマンはその資産やテクノロジーや戦略でスーパーマンに挑むのだと思いますが、ロールシャッハが出来なかった「神」にパンチを叩き込む、その結果殴り合って友情が芽生えるではないですが理解し合えないまま終わってしまった『ウォッチメン』とは違いバットマンとスーパーマンがお互い理解し合い共闘と言う展開になるのでは?と思ってます。
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