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タイピスト!のRyuのレビュー・感想・評価

タイピスト!(2012年製作の映画)
3.8
舞台は1950年代のフランス。田舎娘が保険屋のコーチのもと、世界最速のタイピストを目指す物語。

スポ根×ロマコメといったところでしょうか。上司でもある鬼コーチの特訓。何度もイヤになって投げ出しそうにになっちゃうけど、彼女は逃げません。その理由は“愛”、これぞフランスって感じです。色々不満も募るけど、愛してしまったから故のすれ違い。特に鬼コーチのルイの行動はホントに観てる側からしたら「何してんだよ!バッキャロー」って感じで、この心がソワソワするもどかしさがたまらない。
展開的にはスポ根部分もロマコメ部分も王道って感じで真新しさはないものの、心を許して観ることができる内容だったと思います。
タイピングのカタカタという音がBGMやカット割りとの相性が良くて、なんだか心地良さを感じました。
そして今作の特筆すべきところはなんと言っても視覚的な要素でしょう。ジャケからもわかるように、ローズ役のデボラ・フランソワ、そして1950年代の衣装や小道具などがとてつもなく可愛らしい。今作のために1950年代のタイプライターを世界中から約200台かき集め、終盤にローズが使用するピンクのものはなんと特注品!ローズ役のデボラ・フランソワは実際にタイプライターの早打ちを特訓し、タイピングシーンは全て彼女自身で早送りもしてないそうです。そして当時の女性の立ち振る舞いなどを理解させるために監督はフランソワにオードリー・ヘプバーンを研究させたそうです。その成果は素晴らしいほどに出ていたと思います。一つ一つの動作が品がありながら、素朴な可愛らしさを感じる、まさにブロンドのヘプバーンです。
スポ根だけど、ロマコメ要素がキュン度を上げてくれてスポーツ臭さは感じなかったです。おフランスの作品なのでむしろLOVEの方が強い。更には画面から溢れ出る可愛らしさ、これらが相まって目がハートになるような作品に仕上がっていたと思います。
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