真一

危険なプロットの真一のレビュー・感想・評価

危険なプロット(2012年製作の映画)
3.3
 究極の小説📖を書くためには、何をすべきか。究極の文学📚️とは、何ぞやー。この問いに対し「人生の糧」といった甘美な答えを期待する人は、本作品によって心を折られるかもしれません。胸くそな結論が待ち構えています。スピーディーでややこしい展開。考察好きの方には、お勧めです。

 舞台はフランス🇫🇷の高校。中年の国語教師ジェルマン🧐は、美形で影のある男子生徒クロード👤の宿題作文を目にする。作文は「普通のフランス人家庭」に入り込み、観察を通じて「普通」の正体を極めるという内容だった。

 クロード👤が潜り込んだのは、同級生ラファ🧍‍♂️の家。仲良くする振りをしてラファに近づき、家庭内を覗き見する。痴話喧嘩から性行為に至る、一家の赤裸々な人間模様が作文の世界🌐に再現される。

 あまりの面白さに「クロードを指導し、完璧な小説に仕立て上げよう」と思い立つ国語教師ジェルマン🧐。文学小説のあるべき方向性を教え、謎めいた美少年クロード👤に実践させるという作業が始まる。作文は、珠玉の小説へ昇華するのか?それとも…

これが、あらすじです。

※以下、ネタバレ含みます。

 印象的なのは、国語教師ジェルマン🧐の指導の一貫性のなさだ。そして観る人は、その行き当たりばったりの指導が、ジェルマンの能力のなさに起因するものでないという事実に気づかされる。そもそも「小説とは何か」という問いに答えを見いだすこと自体が不可能であり、危険でさえあるー。これが本作品🎥のメッセージのようです。

 禁断の文学熱に高じたジェルマン🧐は最後、妻🧏‍♀️と職👩‍💻を失います。文学📚️が、常識世界における彼の重要アイテムを全て奪ったのです。でも、そのジェルマンの前に、自主退学したクロード👤がひょっこり現れて言います。

「先生、僕がいますよ」

 美少年クロード👤は、一体何のメタファーなのか。ひた向きな文学少年?それとも実体のない、文学に巣くう魔物?いろいろな解釈が成り立つと思います。

 面白いけど、難解です。文学📚️って本当に、何なのでしょうね…
真一

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