倫理観に訴える作品じゃなくて、身体より精神の方が人間にとってくだらないよね、という身体と精神における話をコンパクトに、それでいてストーリー性をもたせる構成がかなりよくできていて純粋に「面白い」と言っていい作品じゃないかと思う。
そもそも人としての魅力って、その〈個人〉が褒められているわけではないのではないか。容姿がいい人が、何かが原因でそれを失った場合、じゃあその個人の何を褒めるのか。
身体的に一般とは変わっていて、それが普通ではないと表現される場合、そして、そこに後天性がある以上は、”身体における正常”が存在することになる。
正常な人間のみに許された〈正常〉と〈異常〉を仕分ける行為そのものを無くすことが必要であり、しかし身体的に形がある以上はムリな話だ。
精神はいったいどうなの？どうあるべきが正解なの？
「郷に入っては郷に従え」
これがすべてだ。狭い箱の中で小さく暮らせ。
というような作品であり、しかし郷を選べる権利はある。
荒らさず、自由を求めてセカイから出ていこう。
