平沢智萌xxxネタバレ気味注意

くじけないでの平沢智萌xxxネタバレ気味注意のレビュー・感想・評価

くじけないで(2013年製作の映画)
3.5
晩年になって詩を書き始めた柴田トヨさんに捧げられた
柴田トヨさんの物語

武田鉄矢のダメ息子っぷりは苛立ちもするし
しかし主役は母のトヨであるためか
「子供」である部分も余すところなく出してきて
実際の子供を前にした時には大人ではあるけれど
親にとってはやっぱり「何歳になっても子供なのだなぁ」と
喋り方、怒り方、拗ね方、泣き方…素晴らしい演技でした
子供を前にしては大人、
妻を前にしては夫、
そして母を前にしてはちゃんと子供だった!

そして八千草薫の晩年っぷりもさらに凄いです!
体の節々の重さや疲労感、様々な加齢による仕草等
リアルすぎて「ドキュメンタリー」を見ている気分になる
会話も各々が独特の間でありながらも間が死なず
きちんと会話としての些細なやり取りが手に取るようにわかる
それほどまでに役者陣がハイスペックすぎます!

そんな最強の演者達が全力で泣かせに来てるんだから
泣かないわけないですよ、こんな映画!(※褒め言葉)

残念を言うならば、映画という尺に収めるには足りなかったのか
脚本が少し大きく流れすぎた感じはなくはないです
トヨが詩を書き始めるようになってから
自らの人生を走馬灯のように振り返りつつ
それに照らし合わせながら、
現代を生きる周りの人を勇気づけ励ます詩を送る…

どちらかというと
トヨという人物の人生を遡っていく映画で
「詩」と「現代の周りの人達」の影が
後半になればなるだけ段々と薄らいで行ってしまう雰囲気
仕方ないのかもしれないけど、少し脚本の方向性が
前半と後半で違う感じがしたのでちょっとだけ「?」が

しかしそれでも俳優陣が自身の力量を存分に見せつけてくるため
脚本の大味感も霞んでいくほどに俳優陣がマジですごい!
そしてエンディングの由紀さおりが
こんなにも合いすぎる選曲なんて
昨今では久方ぶりの最高のエンドロールだったと思う

「人生を楽しむ人へ」という明るいものを見せたいはずが
全体に漂う哀愁というか悲哀感というか…
昭和のノルタルジック感が「明るさ」に繋がってこず
悲壮な雰囲気を影にまとってしまってる感じが少し
意図と違う見え方なんだろうなと思って、そこだけ残念;