laBamba01

ばしゃ馬さんとビッグマウスのlaBamba01のネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

「でも、夢ってみんながみんな叶う訳じゃないでしょ?叶う人がいる分、その何倍も諦めてる人がいる訳じゃん。ただ、自分は夢が叶う側の人だって信じてたけど、何か違ったみたい...」

この台詞!何ともまぁ、リアルで残酷で愛おしい映画!!

誰もが大なり小なり経験してるであろう 迷いや焦りや葛藤を胸の内に抱え、日々結論を先送りにして生きる主人公達...その姿を観ているとまるで自分自身を見てるかの様な心持ちになってくるのは、細やかな人物造形と、シーン毎の重さと軽さの絶妙なバランスのお蔭...これは監督のセンスか体験か。共感と反感、小気味好さと居心地の悪さを混然と、実に品良く味わわせてくれるのだ。

そして、ある意味とても残酷なラスト。それでも8:2位の割合で淡い希望、夢の予感を漂わせたのも良かった。そう、先のことなど誰にも分からないのだ人生は。

最後まで 一貫して、観る者を強引に引っ張る事なく突き放すのでもなく、まるでキャッチボールするかの様なテンポ感で紡がれ丁寧に積み重ねられたシーンの数々が提示する物語は、実にさり気なくウェルメイド☆演出の魅力を感じた。

さらりとユーモアを漂わせながら、ひりひりとディープなメッセージを投げかけてくる。そんな映画。ばしゃ馬さんとビッグマウスは、二人とも自分の中にいる。

全編9割ほぼスッピン顔を晒す麻生久美子の存在感と美しさも見所。実に素晴らしい。
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