イチロヲ

赫い髪の女のイチロヲのレビュー・感想・評価

赫い髪の女(1979年製作の映画)
4.5
夫のもとから逃走してきた訳ありの女性(宮下順子)が、粗野なダンプ運転手(石橋蓮司)と一緒に愛欲まみれの同棲生活を始める。自身の性に翻弄される女性の人生模様を描いている、日活ロマンポルノ。中上健次・著「赫髪」を原作に取っている。

性の歓びを渇望する女と拙い愛情表現しかできない男が、アパートの狭い部屋で情念をぶつけ合う。神代哲学の「日常こそがエロスそのもの」が色濃く出ており、肉体と精神の乱反射がアンニュイかつアシッドに描かれている。

濡れ場では、生理中の宮下順子と交わり、ペニスが経血まみれになるシーンが出色。個人的には、ペニスに付いた強固な経血を洗い落とすことができず、自分の股間から日常的に饐えた臭いが漂ってくる、という踏み込んだ描写があっても良かったと思う。

大人の下半身劇場に巻き込まれる若い娘(亜湖)と、世間ズレした宮下順子を対比させていく手法が、如何にもロマンポルノ的。70年代後半、ポストシラケ世代の集大成であり、独特の寂寥感とやるせなさに包まれる。
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