長距離トラックの運転手である主人公。上司からの頼みで、生後5ヶ月の女の子とその母親をパラグアイからアルゼンチンのブエノスアイレスまで仕事のついでに送り届けることになる。その道中を描いたロードムービー。
この通りです。それ以上の事は何も起こりません。普通の映画なら途中で事故ったり、変なやつに絡まれたり、登場人物同士がぶつかり合ってヤバい空気になったりしますが、そんな事は一切ありません。
音楽も無く、舞台もほぼ運転席の中。ただ長い旅路をドライブする映画。これだけだと何も面白くなさそうな映画に見えますが、それでも最後までしっかりと鑑賞できました。
どう見ても映画の主人公という感じには見えない小汚ない風貌のトラック運転手ルベン。同乗することになった女性ハシンタとその娘の赤ちゃん。初めは何も喋らず淡々と移動するだけでしたが、道中でハシンタの母親としての姿、赤ちゃんの愛くるしさを見ていて次第に心を開いていきます。
それぞれのバックグラウンドも必要最小限。余計な演出も無いので、純粋なロードムービーとして見ることが出来るでしょう。だからこそラストのお別れのシーンは味わい深さが身に染みます。
展開も少なければ台詞も少ないので、観客側は登場人物たちがその時その時どんな気持ちなのかを自分で考えるような映画だと思います。mark数がメチャクチャ少ないので隠れた佳作という感じですね。