カトリーヌ・ドヌーヴ演じる気品漂う淑女セブリーヌが、実はマゾ的性癖の持ち主で夫に内緒で自ら娼婦の仕事を始めるという話。
当時ナンバーワンの大女優だったカトリーヌ・ドヌーヴにこんな役をやらせるブニュエルの性癖の方が、劇中のセブリーヌより数段ヤバいのは観ててわかります。
でも、淑女と娼婦という品格で言うと月とスッポン(言い方が悪いですが…)の差がある女性を演じるドヌーヴの役は、やはり最高級の女性であるドヌーヴが演じたからこそ傑作になったのだと思います。
ブニュエルはアンチ・ブルジョワで反体制だから、黒人が白人に対して「ホモ野郎」とか「マザーファッカー」と罵るように、本作でもブルジョワ達の持ってる歪んだ部分を映し出したのもあると思いますが、何度も言うようにそれを思いつく奴が一番変態です。
それにしても、イヴ・サンローランが手掛けたドヌーヴの衣装がどれも素晴らしかった!
イヴ・サンローラン自身が手掛けたコレクションが好きで当時のものを後追いしていましたが、本作を観たことでイヴ・サンローランの魅力を再認識しました。
ブニュエルの残りのフランス時代の作品も、観るのが楽しみになりました。