パケ猫パケたん

昼顔のパケ猫パケたんのレビュー・感想・評価

昼顔(1967年製作の映画)
4.6
巨匠、ルイス・ブニュエル監督作品

原作小説は、ジョゼフ・ケッセルの
『昼顔』。昔、新潮文庫で出版されていたが、現在、絶版。尚、チラシによるとこの小説を換骨奪胎したのが、この映画らしい。シュールレアリスムの作風のブニュエルなので、小説は探さない、特集のパンフは欲しかったが、今回は無かったみたい

『アンダルシアの犬』以来、シュールレアリスムとエロティシズムを追究して来た、ブニュエル監督の結晶❄️

私財に恵まれた医師の妻、美しきセヴリーヌ(カトリーヌ・ドヌーヴ)は不感症であり、夫に負い目を感じている。その不感症を治そうとしたのか、同時に、好奇心を満たそうのか、生活費に不自由の無い彼女は、高級売春宿で、午後2時から5時までの淫靡なパートタイマーに変身する。その顛末(てんまつ)が、描かれる

劇中、音楽は皆無

会話劇であると同時に、全編がシュール
な展開であり、サイレント映画みたいな静寂がある。

当時、23歳のカトリーヌ・ドヌーヴがヒロインを演じている。この映画のドヌーヴは実年齢以上に、艶やかである。金髪でフランス人形の様に整った顔立ち。白き肌、単に白いのではなく、桃色の血色が浮きだっていて、綺麗・妖艶・香りたつ。巨漢の東洋人の客を取って、泣いているのかと思えば、淫靡に微笑んでいる
 
動くこと自体が不思議な、カトリーヌ・ドヌーヴを映画は得る事によって、シュールなドラマは、更に際立ってくる

イヴ・サンローランの衣装に包まれて

赤いドレス
黒い帽子とコート(まるでメーテル🎵)
白いテニスウェア
黒いシースルーのネグリジェ

と、上流階級の変態たち

黒いシースルーのネグリジェを着せて、
棺の中に入れて、娘設定で自慰するじいさん(公爵)、『ブルーベルベット』のデニス・ホッパーも真っ青だよね🙇

どこまでが幻想

唐突に白い美顔に投げつけられる泥、なんて美しい、黒澤明の『わが青春に悔いなし』の原節子の泥を想起させる

白い素肌に狂う鞭、さらには脱がされる女

ただし、積載なセックスの描写は皆無、ドヌーヴに対する敬意を感じると同時に、心証的に、エロティシズムは純化されてくる

唐突に、車椅子が映される

ここからは、映画は転調して、犯罪映画の様相

危ない犯罪者、ピエール・クレマンティ、こんな役柄、彼は十八番じゃん、後に、ベルトルッチの『分身』、『暗殺の森』に転用される

カトリーヌ・ドヌーヴの復讐?

ミシェル・ピコリの謀略?

或いは、夫、ジャン・ソレルの自作自演


覗き穴の構造
美しき女の二重生活
美しき女の復讐
拳銃
失明
ナボコフの小説
『カメラ・オブスクーラ』を内包する
かの如く

そして、『アンダルシアの犬』も失明した、男の涙で終わっていた

馬車と鈴の音
鳴り止まない
馭者が二人、夫婦は乗っていない
何かが失われたということ、或いは成就



2022年映画館鑑賞 50本目
2022年鑑賞    69本目


お夜勤🌃🏢の中、福岡の短期特集で、ドライヤー2本、ブレッソン2本、ベルイマン2本、ブニュエル1本、映画館🎦で観たので、今回は勝ちとしたい🐱🎵🌈