ホドロフスキー自身が彼の人生そのものを回顧しつつ映画化したといったところだろうか。
独善的な父は息子を男らしく、ユダヤ人への偏見にも負けないように仕立てようとする。父から息子に伝わる面影を夫に消されてもなお献身的に忠実な妻。そこにホドロフスキーならではのユーモアや風刺が絡む。
チリの独裁政権への強気の批判とは裏腹に、大言壮語したハイネの弱さを出し、試練を経て変わりゆく彼の内面を描く。エキセントリックな描写の裏に、細かい部分まで感じさせてくれる温かな眼差しがあり、ラストは郷愁にも似た後味。
温かみっていうのがポイントなのかなあ。彼の作品は。
蛇足ですが、アッ◯リン◯で観た方が数十倍お得ですから(笑)