すべては嘘なのだ。政府も、映画も。
しかし、すべて嘘であるならば、すべてが本当であるともいえる。軽薄に見える登場人物たちの感情のゆらぎは、すべてほんとうのものなのだ。浮気なのでも狡猾なのでもない。
だが、そのような本当さは、やがて大きな悲しみを生む。人々がもっとそんな場当たり的な本当さ=嘘に揺らぐことなく、誠実に向き合えばよかった、というべきだろうか。そうではない、そうあらざるをえないのだ、とこの映画はいっているように思える。
要所に挟まれる人物のクローズアップのカットがこの上なく美しく、観るものに強い印象を与える。浅薄に見える人間たちの力強い相貌である