シートン

ゲームの規則のシートンのレビュー・感想・評価

ゲームの規則(1939年製作の映画)
4.0
すべては嘘なのだ。政府も、映画も。
しかし、すべて嘘であるならば、すべてが本当であるともいえる。軽薄に見える登場人物たちの感情のゆらぎは、すべてほんとうのものなのだ。浮気なのでも狡猾なのでもない。

だが、そのような本当さは、やがて大きな悲しみを生む。人々がもっとそんな場当たり的な本当さ=嘘に揺らぐことなく、誠実に向き合えばよかった、というべきだろうか。そうではない、そうあらざるをえないのだ、とこの映画はいっているように思える。

要所に挟まれる人物のクローズアップのカットがこの上なく美しく、観るものに強い印象を与える。浅薄に見える人間たちの力強い相貌である
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