瀬口航平

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンの瀬口航平のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

えっぐい!えっぐい面白い!!!
感想ありすぎて書き切れない。

この映画の特筆してるところは、登場人物のリアクションがあまり描かれてないところかも。
当たり前といえば当たり前。なぜなら描かれてるシーンは毎日行われてる家事のシーンばかりだから。一つ一つの行動や、その結果に対しての反応、息子との会話、時折やってくる男との会話など、すごくこなされてる感がすごい。喜びもなければ悲しみもない。自分が一体何をやってるのか、何を今の生活に感じているか、そこに無自覚かつ感覚を無視した生活。家にいると、常に何かをしなきゃという感覚にいて、感性が死んでいる。喫茶店に入ってから初めて笑顔を見せるけど、それだってすぐに終わる。家のこととか別のことが気にかかり、コーヒーも全部飲まずに帰る。

もう夫はいないのに結婚指輪をしているとこも面白い。どんな意図があるんだろう。

極端に長回しのシーンがあるからこそ、たまに急にカットされるシーンがあると、長回しにしてるということは、ここで見せたい何かがあるということなんだろうな、と思わせられる。
何気ない日常を描いているようで、いろんなものが実は垣間見える。
一つ一つの動きが基本的にすごく明確なところから、とても神経質な性格なのかもしれない、とか色々想像がめぐる。

物凄く朝早くに起きるシーンを観て、自分の母親が、家族の朝食を用意するために誰よりも早起きしていたことを思い出した。

最後のシーンがかなり印象的。ほとんど身体を動かしてないのに、内面のプロセスがいろいろ見えた。何か覚悟を決めようとしているように見えたところで映画が終わった。

日常いつもとは違う、うまくいかないことが積み重なってこんなことになったように思うけど、実際には、毎日繰り返されてる何も感じない日常の中で溜まっていたものが、ボタンのかけ違いで表出したんだと思う。

イギリスで10年に一回発表される、史上最高の映画100で、突如として一位を獲得した映画、って文句に惹かれて観たけど、たしかにとてつもない映画だった。。一位になった理由とか知りたいな。
瀬口航平

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