メランクさん

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのメランクさんのレビュー・感想・評価

5.0
一日目黒シネマで4作を観賞しましたが、
なんと言ってもお目当てはこの作品でした。

今年見た「アシスタント」「aftersun」という良作2本の女性監督が偶然にも今作の影響を口にしていました。
そのことがなければこの映画祭にも来なかったと思います。

とくに「アシスタント」はわかりやすく今作の手法を取り入れており、
しかしこんなにも長く、淡々と、一人の女性の生活を描いてくとは恐れ入りました。
なんせ3時間超えなんで長くなかったとは言いませんが、
とは言え長く丁寧に彼女を追うことで、
後半にかけて少しずつ乱れていくリズム、
前半には見られなかったちょっとした綻びが見え、
あっと驚く最後の展開へと導かれていくため、
決して見飽きるということはなかったです。

もしかすると世代の違いもあるのかもだが、
電気のオンオフはやはり前半から過剰なんじゃ?って感じてて、
それが消し忘れ、タイミングのミスってことで効いてきたり、
あとはどうやら家で客をとってる娼婦みたいなんだけど、
にしてははっきりと行為が映るわけじゃないし、
一体何が起こってるのかしら?って思わせといて最後に見せたり、
非常に計算されてるんだろうなと感じます。

とは言え、なぜあのタイミングであの男を?
っていうことに関しては解釈が開かれてるし、
それまでバランスを保ってるように見えただけに
最後にじっとテーブルに座っている彼女は
ものすごい後悔してるように感じられたし、
それでもやらずにいられなかった衝動とはなんなのか?
いろいろな考えがぐるぐるする時間でした。

音の演出も実はけっこう聞いてて、
終わってから考えるとあの赤ちゃんよ…

3時間あるしなかなか見る機会なかったと思うので、
本当にこのタイミングで観れてよかったです。