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ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマンのiiのレビュー・感想・評価

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彼女の1日はとても満たされているようで満たされていないのかも。息子を育てながら、毎日買い物に出かけ、家で娼婦をしてる。不思議な、ありそうな、歪んだ世界。日々の蓄積を描いていく構成なので何度も同じことが繰り返されるが、部屋のスイッチを消すスピードが違うことで苛立ちや焦りを感じさせるような作りとなっており感服した。その他多々蓄積装置あり。
何度かバスルームのシーンが流れるが指輪が途中から消えたように見えたのは私だけか?
後世に語り継がれるべく名作だけど、日常といえば彼女からしたら日常的になのかも。この映画では切り取られた3時間であるからして、観れるならば1日でも1年でも彼女の日常を覗き見てみたいーーと思わされる奇妙な興味深い生活

メモにあったから追記

風呂に入り入念に身体を洗う時に薬指に指輪がきらりと光る。じゃがいもを剥くときも。父は息子に母との性行を伝え死んだ。奇妙な日常はきっと誰にもある物で、彼女からするとそれが全てであった。朝から入念に準備したじゃがいもがダメになり、息子は聞かなければ味の感想すら言わない。部屋の電気のスイッチをこまめに点オンオフしていたのがずれていき、外側には見えない彼女の内側での苛立ちが、行動から、行動の結果によるずれを処理することから見えてくる。1日2日3日と少しずつずれていくルーティンってのもそれが生活であって僕らの日々と何ら変わらない。
僕もスーパーで働いていてこのレジスターを思いっきり殴ってやって全て台無しにしてしまいたいという衝動にたまに駆られるが、これはまだしてないだけで、いつ、ふとそんなことをしてしまっても別段驚かない。気が触れただけとか気が変わったとか気が狂ったとか、人間気まぐれなのだ。きっとタイミングさえずれれば誰にだって狂気は潜む。
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