チョコ停を繰り返して、結局、観終わるのに3日掛かりました…が、
やはり好きです…ファルハディ監督の、この感じ。この何と言えば良いのか、なんだかふわふわと、掴めそうなのに掴めない感じがたまらない。
この作品の濃度も相当なものだった。
いろんな感情が幾重にも重なり合って、観終わったあとに、印象がころころ変わる。思い返して色々考えるのも楽しい。
人物相関が非常にややこしいので、その説明は端折らせて頂くね。
不倫の末の結婚を予定しているマリーとサミールにはついぞ共感出来なかった。彼らの子供達が、身勝手なふたりに向ける眼差しは、大人の愚かさに腹立たしさと同時に、置いてけぼりを食らった寂しさを感じさせるものであった。
マリーは美しいけれど、激情型で、安らぎとは程遠い女性だ。彼女の置かれた状況がつんけんさせるのだろうけど。笑ったら美しいだろうに、結局、彼女の笑顔は見られなかったなぁ…。
それにしても相変わらずの奥行きの深さだ。人の心理の細かいところを刺してくる。
この作品に登場する大人達(マリーの長女リュシーも含めて)は一様に、自分があの時取った行動は正しかったのかと疑い、後悔している。
思い込みかも知れない。
思い違いかも知れない。
先はどうなるか分からない。
マリーが離婚手続きのために呼んだアーマドの秘密を、観ている側としては聞きたかった。4年前、彼がイラン🇮🇷に帰った理由は何だろう…?その内容が、すべての始まりのような気がする。(気がするだけやで)
そんな謎を残す感じも好き。
とても面白かった。
満足度の高い一本でした。