satoshi

死霊館のsatoshiのレビュー・感想・評価

死霊館(2013年製作の映画)
4.1
【監督強化月間②】ジェームズ・ワン


 「死霊館」シリーズ第1作。監督はジェームズ・ワン。ジャンルに縛られず、縦横無尽の活躍をする彼が制作したホラー映画です。普段こういうのは観ないのですが、『アクアマン』公開に合わせて鑑賞しました。

 本作は「例が憑りついた館で起こるホラー」というかなり古典的な映画ですが、恐怖の煽り方、『エクソシスト』的な除霊バトル、作中通して描かれる感動的なメッセージなど、オーソドックスな娯楽要素を多分に含み、それら全てがきちんとまとまっているという娯楽映画の決定版みたいな内容でした。

 本作は、まず7人家族の一家が新居に引っ越してくることから始まります。幸せいっぱいそうなのですが、そんな一家が襲われる恐怖の描き方がとても上手い。扉がスーッと開く時や暗闇の「誰かいる」時に感じる恐怖、聞こえる謎の声、決まった時間に止まる時計で、観客の恐怖心を煽ります。ここのタイミングと画面の構図が上手いなと。扉や箪笥が開く時も、画面の端にあるものが不意に開きます。ここはその時の「きぃぃ・・・」って音も相まって非常に不気味です。で、シチュエーションも上手くて、目隠しかくれんぼをしているときに起こるのです。もう「そっち行くな!」と何度思ったことか分かりませんよ。『へレディタリー/継承』を観た時も思いましたが、ホラー映画ってタイミングと画面構図が非常に大事だなと思いました。

 こうしてたっぷりと恐怖を煽った後は、ウォーレン夫妻が参入し、『エクソシスト』的展開になっていきます。丹念に家を調査し、除霊の準備を進めていく過程は面白いし、何より前半であれほど恐怖を煽った後なので、作中の一家と同じく、ウォーレン夫妻が来てからの安心感が半端じゃないです。しかも、調査をしていくにつれて、霊がヤバい奴だと判明していく下りは別の意味で恐怖でした。こうして観ると、本作の脚本は非常に計算されていることが分かります。

 前半の恐怖、そして中盤の除霊展開。これだけ聞くと『エクソシスト』ですが、決着も良いですね。ラストでアレが効き、霊にうち勝つシーンは演出の上手さもあって感動できます。これは家族の話なんだと。後はエンディングも不気味で最高でした。

 このように、本作は「館で起こるホラー」でありながら、キッチリ燃える展開や感動できるシーンまであり、ジェームズ・ワンの実力がしっかり認識できる作品でした。
satoshi

satoshi