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不気味なものの肌に触れるのzukkiのレビュー・感想・評価

不気味なものの肌に触れる(2013年製作の映画)
3.9
濱口監督の作品は鑑賞3本目。

接触が許されないダンス、それを練習する青年たち。彼らと彼らを取り巻く人々の関係を中心に、他者に触れるという行為について感じ、考える作品だと思った。
物語は淡白で、その分俳優の動作とカメラワークが際立っている。

寝転んだ千尋が斗吾をスッと避けるシーンをはじめ、手をサッと引く・立ち上がる・離れるなど、素早い動作が映像に生む面白みを感じた。

途中の、直也と千尋の二人が「怖いもの」について互いの考え・意見を語り合うシーンがだいぶ気になった。二人の口調が突然変わり、何か頼りなく生の言葉を紡ぎ始めていたような。あれはアドリブだったのだろうか。映画全体では、このシーンの言葉に最も説得力を感じた。

フリスビーで遊ぶ場面で、突然人物がカットの中を横切り、フリスビーを奪い、リズムを壊すという行動が、非常に印象的だった。
後ほど鑑賞した『PASSION』にもフリスビーの場面がある。何かのオマージュなのか。

淡白な物語が、さまざまな演出をなせる余白を物語に生み出していた。暗い世界の中に演出の気持ち良さが存在している。好みの作品だった。
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