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雨月物語のzukkiのネタバレレビュー・内容・結末

雨月物語(1953年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

"この世ならざるもの"の描き方が非常に技巧的。カッと照らす光と影のコントラスト+俳優のおどろおどろしく憎悪溢れる演技に、裸にされた弱々しい姿の主人公で恐怖が増大。
湖畔での妙に明るい光に包まれたシーンも、気品ある不気味さ。どこからか聞こえる歌声とともに、部屋をぐるっと回って甲冑を見せる、カメラワークの驚かしも好みであった。

その屋敷のエピソードと同時並行で、妻は殺され、他の家族も苦しむ運命に陥る物語が展開される。それにより、幻想に耽ることがいかに悪かをますます強調していたように思う。
さらに、帰ると妻がいる、という展開が、屋敷での一件で説得力が補強され、観客を惑わせるものになっていた点も良かった。

幻想的なホラー映画でありながら、人の世の怖さと生活への回帰を描くドラマ作品でもある。興味深い映画だった。
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