三隅炎雄

怪猫逢魔が辻の三隅炎雄のレビュー・感想・評価

怪猫逢魔が辻(1954年製作の映画)
4.2
鶴屋南北を下敷きにした入江たか子化け猫映画。ただし『独道中五十三駅』をやってるわけではなくて、設定を化け猫定番の藩のお家騒動から女歌舞伎一座の座頭争いに変え、そこに四谷怪談と『法懸松成田利剣』の累を加え、更に更に『独道中五十三駅』の化け猫を引っ張って来てないまぜにした。
伊右衛門ばりに元情夫が人気役者入江の顔を毒で崩して厄介払い、最後は『法懸松成田利剣』初日前夜「木下川堤の場」累殺しの稽古場に入江化け猫来襲、空を駆ける大暴れとなる。
華やかな歌舞伎舞台とその裏側の陰湿な虐めの対比面白く、加戸敏演出も俗悪な大衆映画の力にあふれて快調、『怪猫有馬御殿』に並ぶ入江化け猫映画の痛快作となった。
三隅炎雄

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