映画において、拳銃は視線を可視化する小道具で、本作でもそれは殺人犯のPOVショットにはっきりと現れている。
だからこそ、終盤になって、視線とまったく違う方向を撃つクライヴ・オーウェンが新鮮に映る。あと、この人アクションできる俳優だね。圧倒的に不利な状況なので、撃てたら即撃つ、という感覚がいい。
アマンダ・セイフライドがカメラに拳銃を向けるショットも様になっている。
拡張現実にいたるところ装飾されたPOVショットの煩さと、静謐な三人称ショットの対比はアスペクト比を変えるだけの説得力を感じた。
SFとしては先祖返りしている感が否めないし、視界をリアルタイムで書き換える描写は嫌でも『攻殻機動隊』を思い出す。20年くらい古いんじゃないか?
(いい加減パジーリャ版『ロボコップ』のようにグレッグ・イーガン以降の、更新されたSFが出てきてもいいのではないか?)
物語も古典的なノワールになっていて、細部にも強引なところが散見されるが、このように何もかも古いまま、新しい視点の取り方とアクションが生まれるところがSF映画の発展なのだろうか? そうかもしれないと、感じた。