ユースケ

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!のユースケのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

エドガー・ライト×サイモン・ペッグ×ニック・フロストによる【スリー・フレイバー・コルネット】三部作の完結編である本作は、高校時代に人生の絶頂を迎えてしまい、大人になりきれなかった男が、過去の栄光に区切りをつけるため、高校時代に達成できなかったパブクロール(12軒のはしご酒)に挑む酔いどれ映画。

高校時代のパブクロールの映像やパブの店名に物語の展開を暗示させたり、パブクロールに挑む5人の名前やはしご酒するパブの件数に【アーサー王と円卓の騎士】の伝説を暗示させたり、巧みな伏線はさすがエドガー・ライト監督。
エイリアン侵略ものの傑作【SF/ボディスナッチャー】【光る眼】【遊星からの物体X】へのオマージュやジャッキー・チェンとの仕事で知られるスタント・コーディネーターのブラッド・アランが指導したイギリス式酔拳もたまりません。

とにかく、サイモン・ペッグ演じるゲイリー・キングのキャラクター造形が素晴らしい。
エイリアンに侵略されようが、地球の文明が滅亡しようが、どんなことがあってもパブクロール達成にこだわる姿からは、「これをやり切れば自分は変われる」という思いがヒシヒシと伝わってきて身につまされる思いになりました。
特に、エイリアンが作り出した過去の自分を殺し、メインタイトルのバックで流れたPrimal Screamの【Loaded】の冒頭の演説(【ワイルド・エンジェル】のピーター・フォンダー演じる暴走族ヘルズ・エンジェルのリーダーのセリフの引用)を叫び、高度な知的生命体を論破し、文明が崩壊した世界でいきいきとパブクロールを続ける吹っ切れた姿からは、ボンクラを貫き通せというエドガー・ライト監督の優しいメッセージが感じられてグッときました。

欠点=人間性という事を理解できず、人間の欠点をなくしてあげようと善意から奮闘するエイリアン(中の人は【パイレーツ・オブ・カリビアン】シリーズのデイヴィ・ジョーンズでお馴染みのビル・ナイ)の皮肉の効いた設定も秀逸。

ちなみに、前作【ホット・ファズ -俺たちスーパーポリスメン!-】の四代目ジェームズ・ボンドことティモシー・ダルトンに続き、五代目ジェームズ・ボンドことピアース・ブロスナンが出演。【ダイ・アナザー・デイ】以来となるロザムンド・パイクとの共演にも注目です。