ずどこんちょ

ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!のずどこんちょのレビュー・感想・評価

3.5
絶望的なホラー世界の中で普通の人間が繰り広げるコメディな一悶着といえば、『ショーン・オブ・ザ・デッド』みたいと思っていたら同じエドガー・ライト監督でした。やっぱり!

久々の友人たちとの再会。すっかり中年になってしまった彼らは数十年ぶりに地元に戻ります。目的は、街の12店舗のバーをはしご酒で回り切るという若い頃成し遂げられなかった伝説に再挑戦すること。
しかし、街の住民たちがどこかおかしい……

"彼ら"に抵抗する人間側の代表たちが、よりによってはしご酒チャレンジ中の酔っ払いというのが実におかしい。
店を変えるごとに事態は深刻になっていっているのに、ゲップをしたり笑い上戸になったり、主人公たちの酔いも深まっていくのです。
どうしてこんなユニークな設定を思いつくのでしょう。

友人達に声をかけて久々に集めたゲイリーという男も皆に言えない秘密を抱えています。
不動産販売や弁護士などそれなりに定職を持って安定した生活を送っているかつての仲間たちと比べて、ゲイリーはまるで若者の時から全く成長していないよう。常識外れで破天荒です。
決して戻れない過去にしがみつくゲイリーの姿は、どこか虚しく感じます。
しかし、いつしかこの欠点だらけの哀れな男が最も人間味に溢れているように見えてくるところに、人間の魅力が詰まっていました。