清朝最後の皇帝、愛新覚羅溥儀の生涯を描いた映画。
皇帝であることを運命づけられ、皇帝を退くことも運命づけられていた彼の人生。彼なりの考え方を持ちながらも、時代と環境と出自に翻弄され、運命づけられた方向にしか人生が進まないもどかしさが伝わる。
晩年、平民として文化大革命を眺めていた彼は、何を思っていたのだろうか。
紅衛兵のデモで収容所の所長が罪人として晒し上げられるところを「悪いことはしていない」と溥儀が庇うシーンが、周囲に翻弄された結果戦犯として収容所に入れられた溥儀自身の過去を重ねて庇っているような気がして、印象的だった。
画と音楽が全体を通して美しく、重いテーマで3時間の長尺ながらも最後まで落ち着いた気持ちで観ることができた。