くりふ

ウルフ・オブ・ウォールストリートのくりふのレビュー・感想・評価

4.0
【パルプ・ノンフィクション】

このネタなら面白いのは予測できましたが、前作『ヒューゴ』の嘘臭さに比べたらスコセッシ、まるで水を得た魚のよう!(笑)

しかし本作のバカどもにはほぼ、自己投影していませんね。狂わずちゃんと冷笑してる。接点感じなかったのかな? そして最後に、ジョーダンに餌を与え続ける一般人への冷笑も忘れないところがいいです。

このジョーダン・ベルフォートって人が面白いのは、自分の実人生をパルプ・フィクションにしてしまったことでしょう。それ以上でも以下でもないですね。富すれば鈍する、とはまさにこれ(笑)。

しかしこの人、成長も破滅もなく、ただ蟹の如く横歩きし続けるんですね、快楽の泥道を。それ3時間見せられるとホント飽きてくるけれど、本人はひたすら楽しいだろうし、それを許す場がかつてはあったし今もある…という映画なのでしょう。私は行きたくないけどその道は(笑)。

デカプーも水を得た魚ですねえ!『ジャンゴ』の時も思ったけどこの人、熱演すればするほど冷めてくる感覚が面白い。それが役への批評にもなっていますね。腹の中ではジョーダンを冗談だと思ってたんじゃなかろうか(笑)。

本作イチの収穫は、マーゴット・ロビーの技あり!な存在感。かつてクリスティナ・リッチ目当てで『PAN AM/パンナム』を見たらマーゴットの方がずっと良くて以来、気になっていましたが、本作でついに、見事な肢体をぜ~んぶ見せてくれちゃったりしてもう!(笑)

初披露の図がまるでPLAYBOY誌のセンターフォールドみたいで巧い!と思った。まさしくパルプな欲望の女神。このナオミって女はトロフィーワイフであることを堪能できちゃうのでしょうね。

でも一方、ちゃんと怒る女であるところが頼もしい。マーゴットがちゃんと、腹式呼吸で怒っていて感心しました(笑)。彼女になら水かけられてもいいです。

長く饒舌ダレる、な総体感ではありましたが、スコセッシ作品中ひょっとして、いちばん楽しめた映画かもしれない…とも思いましたよ。

<2014.3.1記>
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