改名した三島こねこ

ウルフ・オブ・ウォールストリートの改名した三島こねこのレビュー・感想・評価

3.9
<概説>

数々の名作ノワールを手掛けたマーティン・スコセッシによる、ウォール街の伝説の男の物語。株と女と麻薬で人生を彩った男の、鮮烈な転落劇の一部始終を目撃せよ。

<感想>

『カジノ』『グッドフェローズ』などの無骨なノワールではなく、ウォール街を舞台とした洗練された悪党の物語。それだけにスコセッシの色が見えるのかは心配でしたが、見事にスコセッシでした。暴力描写はろくにないのですが、砂上の楼閣が鮮やかに崩壊していく様を描けるのは彼ならでは。そして最後まで全員クソ野郎。

『カジノ』は女。
『グッドフェローズ』は食。

そして本作『ウルフオブウォールストリート』のメインウェポンはいよいよ大本命の薬です。
この薬の描写がとにかく楽しい。骨董品の薬のような浪漫だとか、馬鹿のやらかしがちな過剰摂取だとか、そしてコカインを大量に花吹雪がわりにぶちまけたりだとか。ここまで大手を振って楽しまれてしまうと、こちらも怪しからんだなんて無粋なことは言えません。是非私もレモンを6錠いただきたい。

というかこの話が実話なのが素晴らしいです。まさにスコセッシが映画化するためにいるような男の伝記。悪党なだけではなく確かな才能があるのが、またスコセッシ作品らしい。

三時間と長い作品でありますが、また試聴したい愉快さがありました。スコセッシのインモラルなところが好きな視聴者にはこれはたまらないですね。