バナバナ

再会の街でのバナバナのレビュー・感想・評価

再会の街で(2007年製作の映画)
4.8
アランは歯科大時代に同じ部屋に住んでいた親友チャーリーと、街で再会する。
チャーリーは妻子が乗った飛行機が911のテロに巻き込まれて家族を亡くし、重いPTSDを抱えながら世捨て人の様な生活をしていた。

同じ家族を亡くしているのだけれど、義父母とチャリーとでは悲しみ方が違う。
義父母は娘と孫が亡くなった事を受け入れているが、チャーリーは数年経っても、未だその事実と向き合う事すら出来ないでいる。

アランや義父母は、チャーリーが普通の生活を送れずにいるのは、悲しみを外に漏らさず心の中に溜め込んでいるせいでははないかと、カウンセリングを受けさせたいのだが、チャーリーにとって家族を思い起こさせる行為は、全てが苦痛だ。

かくいうアランも、大きな歯科医院を経営し、妻子もおり、裕福なのだけど、同僚達とは気が合わないし、家でも何故か息が詰まるように感じている。
同じビルの精神科医に挨拶がてら相談すると、ちゃんとカウンセリングを受けに来いといつも叱られている。
慰霊金で学生の様な気ままな暮らしをしているチャーリーと再会し、彼のペースで遊ぶ事で、本来の自分を取り戻していくアラン。

映画はすごく静かに静かに進んでいきます。
近しい人が亡くなっても、家族の中でも受け止め方が違い、まだそこで立ち止まっているのかと「まだか、まだか」と急き立てられる。
個人を悼んで悲しんでいるのは同じ筈なのに。

親友、家族だから心配しているのに、それが相手に伝わらないもどかしさ。
しかし、それはこちらの勝手なのかもしれない。
難しいですね…。

ただ、最後に嫁の立場から言わせてもらうと、どん底から立ち直るきっかけが新しい恋なのだとしたら、
「最初っからそこまで落ち込まんでよろしい!」
と言わせて頂きたい。
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