エンポリオ

her/世界でひとつの彼女のエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

人工知能に恋をした男の成長を描く物語。
科学の進歩により生身の人間と会話をするのと同じようにコミュニケーションが取れる人工知能が世に広まった世界。長年連れ添った妻と離婚した主人公のセオドアはサマンサという名前の人工知能と恋に落ちる。機械としての進化を遂げていくサマンサは彼の元から離れることになり、そのことがセオドアの成長という名の進化を促すことになる。
科学の発展が人間の生活にもたらす豊かさの功罪を問うような映画は探せば探した分だけ見つかる程存在するが、この作品はその類の映画ではなかった。主人公は肉体を持たない人工知能の女性との恋愛を通して様々な感情を知り今までは見えていなかった自分の部分を見つめることが出来た。彼にとってサマンサは離婚のショックや寂しさを紛らわすためだけの存在ではなく、データともに自分自身のことも整理していくためのパートナーとなっていたように感じた。
サマンサがセオドアの日常から姿を消しても尚、彼の心の中には彼女と過ごした日々が残り、その大切な日々から学んだことを糧に彼は現実の世界で一歩前に踏み出していった。一度も相手に触れることなく終わってしまう恋愛は切なささえも感じさせる、素敵な作品だった。
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