カザミ

インターステラーのカザミのレビュー・感想・評価

インターステラー(2014年製作の映画)
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すごくよかった。
色んな些細な伏線が丁寧に拾われるのが好感が持てる。全体的に丁寧なSFだったとおもう。話は難しいけれどなんとなくの流れでああ大変なんだなとかそういうことはわかるので戸惑うこともなく楽しめた。
それと主人公の動機がただひたすらに矮小で、そこもすごく良かった。
色んな巨編映画の主人公は、世界を救うためとか、人類を救うためとか、そういうとても大きくて尊い目標を掲げて旅立っていくことが多いけれどこの主人公はそうではない。
自分の家族を生き延びさせたいから、娘に未来を見せてやりたいからといった小さな祈りみたいな願いで困難な旅に出る決意をしている。だからどうしたって帰りたいし、帰還をまず第一に考える。そこがすごくいい。矮小な願いだって大義の願いと同じくらいに尊いのだということを感じさせてくれる。世界や社会の為には頑張れなくても、「大切な人の為に」頑張るって、大なり小なりみんなやっていることだから。
ひたすらに王道な宇宙冒険物語と、どこか哲学的な時間と距離の概念が入り交じった映画だった。
その結末が「愛」。そんなの最高じゃん。
そこに辿り着くまでの旅も面白かったけれど、辿り着いた後の景色がすさまじかった。ラストのほうとかずっと泣きっぱなしだった。
愛は時間や距離や概念なんか越えてしまう。それでいいじゃん。って感じがした。

映画には直接関係ないのだけれど、プラネテスというタイトルの漫画があって、それも宇宙の話である。その漫画の最後のほうで「愛しあうことだけがどうしてもやめられない」という台詞があり、それをふと思い出した。
別にその作品がこの映画と似ているとかそういうのではなく、やっぱり、人間の持つ最大の力は、愛なんだなと改めて深く感じた。
限りなく美しいけれど、生きているものがなにもない宇宙には当然愛なんてこれっぽっちも無くて、宇宙に人間が挑む物語にはやはり愛が必要なんだなと納得する。
宇宙を舞台にするからこそ愛が映えるというか。無機質な場所に愛を持っている人間が挑むからこそ火が灯ったような希望が見えるのかもしれない。
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