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ラスト・ダイビングのsonozyのレビュー・感想・評価

ラスト・ダイビング(1992年製作の映画)
4.0
ポルトガルのノヴォ・シネマ(ヌーヴェルヴァーグ的なムーブメント)の中心人物の一人というジョアン・セーザル・モンテイロ監督作。

夜の波止場で淋しげに座る青年に、おっちゃんが近付き「もう2時間12分もそうやってるが、この時間ここに来る人間は、拳銃を処分するか、死ぬかだ。」と語りかける。
「そんな長い時間、私を見てて、飛び込んだら助けるつもりですか?」「残念ながらそうじゃない。俺も後を追うさ。」「じゃ、一緒にラストダイビング、実行しましょうよ。」「まぁ待て。天国は待ってくれてるさ。」と、青年と共に、夜のリスボンの町に向かう。というオープニング。

おっちゃんは、リウマチに苦しむ妻(おっちゃんに苦言をしゃべり続けてる)がいるものの、夜遊びに慣れてる感じ(金にも苦労してなさそう)で、まるで久々に会った青年の父親のように、3人の娼婦を連れて夜の町・店を飲み歩く。

娼婦の一人は、ろう者でおっちゃんの娘らしく(病床の奥さん以外の女性との子だと思われ)、最高の女だから今夜共にしろと青年に勧める。

青年、娘、おっちゃん、それぞれ、どうなるのか。。。

見どころは、夜の屋外でのサロメの舞い。ダンサーの長回しの後、娘の無音ダンスが繰り返される。
そして、娘と青年がひまわり畑を歩き続ける(波の音と共に)美しいシーン。

英語字幕のため、後半に出てくる朗読的な内容(フリードリヒ・ヘルダーリンの小説『Hyperion(ヒュペーリオン)』の内容らしい)が十分理解出来てないのが残念ですが、自らの死を選んだはずの二人の人間(青年とおっちゃん)のラストが何とも不思議な読後感でした。
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