青二歳

無常の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

無常(1970年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

実相寺昭雄の性。大島渚の“儀式”のような素材ですが今作の方が好き。琵琶湖近くの街並みを撮るとき、固定でも素晴らしいショットになりそうなところ、移動して街並みを近視眼的に撮るのがいい。ローアングルが印象的。

どうもこの男は女抱いてる時に骸骨に見えたり能面に見えたりするらしい。難儀な事だ。骸骨というのは九想図だろうから分かる。しかし能面というのは無常というより普遍の象徴に思う。光ひとつで表情を変え、様々な女になり得る小面は普遍の女。定まらないという意味ではまさに無常ではある。この男にとって目の前で抱いている女は姉という個ではなく、ただの女という表象なのだろうか。

姉を強く求め抱きながらも書生に差し出す弟、仏像がすべて女性に見えるという幼馴染の僧侶、身分違いなのに手順を踏まず主人の娘を抱く書生、妻を寝取られる事で精力を得る仏師、不義をする義母を見つめラジオ体操をBGMに義母の誘惑を断れない仏師の息子、性欲に関してみんなロクでもない。そしてまさかのおばあちゃん子。
鯉を抱える死後の世界か。
青二歳

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