こやち

ブルージャスミンのこやちのレビュー・感想・評価

ブルージャスミン(2013年製作の映画)
3.8
ウッディ・アレンによる『欲望という名の電車』へのオマージュでしょうか。本人はリメイクじゃないて言ってるらしい。

舞台は路面電車の走るニューオリンズからケーブルカーのサンフランシスコに移っているが、登場人物の関係性はほぼそのまま。過去にジャスミン役のケイト・ブランシェットは舞台でブランチを、ハル役のアレック・ボールドウィンはTVでスタンレーを演じている。ジンジャーの恋人役のボビー・カナヴェイルもどことなく若き日のマーロン・ブランドを彷彿とさせる。おまけにブランチの付けていた香水はジャスミンの香り。

妹の恋人が『欲望という名の…』のスタンレー程えげつなくジャスミンを追い詰めて行ったら嫌だなと思ってたけどそんな事は無く、泣き虫の気のいいアンちゃんでしたね。まあ、その分キャラが薄くジャスミン一人が嫌な女感を強めている。
過去の栄華を忘れられずに虚栄と自己欺瞞の中で生きていくジャスミン。だんだん精神的にも破綻していく。それでも本人も職に就こうとは努力しているし妹カップルも丸く収まったりして、ウッディ・アレンだけに元ネタよりはライトでコメディ風でもある。しかし、終盤のケイト・ブランシェットの表情はコメディと言うには余りに悲痛。ギリギリと音がする様だった。
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