このレビューはネタバレを含みます
「愛したはずの男は全くの別人でした」
名前はアイデンティティ。その存在をあらわす。が、別人とは何に対しての別人なのか。彼の存在はそこに確かにあったはずで、生命保険は支払われるのに。
その昔『蒸発』と言う言葉があったが、その落ち着く先はホームレスか。この戸籍ロンダリングはもしそれに犯罪性があったとしても、そうまでしても社会で生きていきたい気持ちが有るだけ救われるような気もする。
弁護士の城戸が、ラストで誰かを騙っていた気持ちも解らなくはない。現代人はその気持ちの捌け口にSNSでいくつもの名前を使い分けているのだろう。それは城戸の妻の浮気も同じことかも知れない。