飛行機のファーストクラスで、ブランドものに身を固めた金髪女が老女に話かけている。場面は変わり、サンフランシスコの平凡なアパート。妹の住居であり、妹の前夫の子供も暮らしている。ともに前夫との子供を持つ姉妹の物語である。話は二人の過去に移る・・・
かつて大富豪に嫁いで豪奢な現代の貴族生活を謳歌する姉、富豪ではないものの自営業者と堅実で誠実な愛のある生活を営む妹。妹夫婦は便利屋を終え、建設業を営もうとしていた。しかし姉の夫の正体は詐欺師であり、夫婦で妹夫婦に投資を薦める。
このように過去と現在が、姉の記憶のように交互に描写され、姉の所業が明かされながら中年コブ付き姉妹の恋愛物語が進んでゆく。
若い頃、多くの女は男の金と力に憧れるかもしれないが、この映画での姉の望む再婚はハッピーエンドとはならない。かといって姉の自業自得を笑う気持ちにもなれない。鑑賞者が登場人物に感情移入するような映画ではなく、第三者的に中年の女とそれを取り巻く人々の人生を考えさせられるのは、70代後半の監督の経験による丁寧なつくりによるものだろう。
凝ったサスペンスでもなくSFでもない、70代後半の監督らしい適度なテンポと各場面に合ったBGMが心地よい。
