小波norisuke

とらわれて夏の小波norisukeのレビュー・感想・評価

とらわれて夏(2013年製作の映画)
4.0
80年代歌謡曲の題名を思わせるような邦題のこの映画。想像を裏切らずに、どこか懐かしい感じのする「メロドラマ」だ(と思う)。ストーリーに新鮮さは感じなかったけれど、私には、この映画のケイト・ウィンスレットが新鮮だった。

私にとってケイト・ウィンスレットは、メリル・ストリープと同じ類に属する、「いかつめ」なお顔立ちで、弱い部分は隠して虚勢を張って生きていくような、シャープな女性の役柄が似合う女優というイメージだった。しかし、本作では、容姿にも曲線を増して(「マディソン郡の橋」のメリルを思い出した)、虚勢を張ろうとしても弱さの透けて見えてしまう、精神の不安定な中年女性を見事に演じていて驚いた。

シャープな印象の頃から、彼女には色気を感じていたけれど、本作ではますます妖艶。むっちりとした二の腕や、腰回り、脚、すべて色気を放っている。チリビーンズやマフィンを食べる時の表情もなんだか艶っぽい。

かたや脱獄犯役のジョシュ・ブローリン。男らしさや、包容力は感じるものの、特にセクシーだと思わないが、ケイト・ウィンスレットと絡むと、別に濃厚なラブシーンがあるわけでもないのにエロさが漂う。でも、なんだか、いかにもな演出なので、不謹慎かもしれないけれど、ふふふと笑ってしまった。

しかし、こんなお母さんと脱獄犯と一つ屋根の下で過ごす思春期真っ盛りの中学生男子は、大変だ。

映像は美しいし、ケイト・ウィンスレットには見入ってしまったものの、私にはドラマ性が弱く感じてしまって物足りなかった。
小波norisuke

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