ハレルヤ

エレニの帰郷のハレルヤのレビュー・感想・評価

エレニの帰郷(2008年製作の映画)
3.8
映画監督であるAと呼ばれる主人公。母親のエレニと父親のスピロス、そして彼らの友人のヤコブの3人の人間模様をAの目線から描くヒューマンドラマ。

名匠テオ・アンゲロプロス監督作品。前作「エレニの旅」と本作、そしてその次回作で20世紀三部作を製作する予定でしたが、監督が2012年に交通事故で亡くなった事で、本作が遺作となってしまいました。

前作と同じく歴史的な事件を背景に、エレニを中心とした登場人物たちの運命を描いた作品。「エレニの旅」と登場人物名は同じですが、同一人物ではありません。

スターリンの死、ベトナム戦争、ベルリンの壁の崩壊など20世紀後半の大きな出来事に翻弄されるエレニたち。そんな彼女が愛した人、想い続けた人などのドラマが展開されます。

現代と過去が入り組んだ構成で、物語を追うのが少し大変ですがその分集中して見れる内容。ウィレム・デフォーやブルーノ・ガンツなど馴染みのある俳優がいるのも見やすさがあります。

監督の過去作と比べて、長回しなどの独特な演出は少なめ。それでも2時間ほどの間にこの半世紀に渡る壮大なドラマを巧く収めた実力はやはり流石と言えるでしょう。亡くなられたのは本当に残念ですし、三部作の完成形を見たかったですね。
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