安堵霊タラコフスキー

ウォールデンの安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

ウォールデン(1969年製作の映画)
2.6
時間的な都合もあって第一部をスルーして第二部から見るという邪道な見方を取ってしまったけれど、時間も金も半分の消費で抑えられたのは幸いだったと思う。

まず良い点としてはただのホームビデオみたいなフィルムでも早回しにしたり変な音を付けたりしたら前衛的なものになるという典型例のように思えたところで、その意味で編集の妙が感じられる作品になってはいた。

しかし殆どの映像が早回しだったせいで情感もへったくれも無い仕上がりとなっていて、結構ふらつきの見える撮り方も相俟って映像自体は不満が募るものだった。

というか他の作品を見ても薄々感じてはいたが、ジョナス・メカスは編集のセンスはあるかもしれない反面撮影のセンスは全く見られず、被写体を手持ちで雑に追う動きとか映像の明度がブレまくりの様子とか素人同然って感じで苦笑してしまった。

その撮影センスの無さもあって途中から早回しが雑な映像の誤魔化しのようにも思えてしまったけど、そんな普通に見たらまるで使い物にならない映像も集めて加工を加えたら作品として一応成立してしまうので、そう考えるとさながらジャンクアートの如き映像作品になっていたなとある意味感心してしまった。

でも半分の90分程度でも非常に長く感じられたのは事実で、体感時間としてウエスタンや2001年宇宙の旅以上に長いと思ってしまったのは好みを抜きにしてもさすがに驚いた。(つまり全編見ていたらファニーとアレクサンドルや1900年を余裕で超える体感時間を味わっていただろうけれども、全く好みじゃない映画でそれってのは想像しただけで地獄のようだ)

リトアニアへの旅の追憶は例外として、ジョナス・メカスの長編映画を劇場で見るのは今後控えた方がいいなと、今回強く思わされた。