ジャクト

アデル、ブルーは熱い色のジャクトのレビュー・感想・評価

アデル、ブルーは熱い色(2013年製作の映画)
4.9
個人的には大傑作。アデルの愛嬌ある顔立ち、どこか隙のある演技。エマのボーイッシュな美しさ、どこか危うさのある雰囲気。この二人しか適任者はいないんじゃないかって程のハマりっぷり。見ていて非常に引き込まれた。

3時間という長尺も世界観や二人の関係性を構築するには必要な長さだったのだと思うし、けして冗長的とは思わなかった。二人のキャラクターやそれぞれが属する世界の説明、差異を過不足なく描くのにもやっぱり大事な長さだったのだと感じるし、ずっと浸っていたい空気感だった。

二人の関係の押し引きというか、濃厚な部分ともどかしい部分の表現も良かった。キスをしそうでしない、触れそうで触れない序盤から激しすぎるラブシーンを長く映した中盤、その差が二人の愛を強く意識させるのに効果的だった。刺激的すぎると評判のラブシーンも、燃え上がる愛を描写するにはやはり重要なものだったのだと思う。綺麗に撮っていたら、おそらくこの映画の魅力は薄れていたのではないだろうか。感情豊かな二人の愛を見たからこそ、後半の展開をより切なく感じることができた。

アデルにとって、エマとの出会いは幸福だったのか、そうでなかったのか。エマを知ったことで広がったアデルの世界には、満足できる愛は訪れるのか。心に深く刻み込まれた素晴らしい作品だった。
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