あしたか

インセプションのあしたかのレビュー・感想・評価

インセプション(2010年製作の映画)
4.7
[再鑑賞]


[あらすじ]
他人の脳にある意識を植え付ける、"インセプション"の依頼を受けたコブ。彼は、人の潜在意識に侵入できる産業スパイとして一流の腕を持っていた。自身の犯罪記録抹消と引き換えに危険なミッションに挑むことになったコブは、スペシャルチームを結成する。


[見所]
●見たことのない映像
⇒街がひっくり返ったりポンポン爆発したりホテルが無重力になったりと、「あぁこれは確かに夢の中だ」と思えるぶっ飛んだアクションだらけ。難解なストーリーは苦手という人もこれを見るだけで元が取れる。

●難解で読み応えのあるストーリー
⇒あらすじ自体はなんてことないが、夢の中のルールがとにかく複雑。そしてそれが楽しい。最低限のルールをわかりやすく、スリリングに説明する冒頭の15分間はお見事。
ラストシーンについての解釈は多岐にわたり、公開当時は2chが盛り上がっていたことを思い出す。あんな終わり方をしたら2度は確実に見てしまう、ニクい映画。

●ありったけの緊張感と緩急自在の演出
⇒夢の中で発生する想定外の諸トラブルにギリギリのラインで対処し、攻めていく展開には手に汗握る。ピンチが物語をグイグイと引っ張っていく。
話が進むにつれて情報量が渋滞するものの、なんとか理解出来る絶妙なバランスで調整されている。長尺だが無駄のない、濃密すぎる時間に頭は沸騰寸前になる。

●多重構造の夢
⇒第一階層はロサンゼルス、第二階層(夢の中の夢)はホテル、第三階層(夢の中の夢の中の夢)は雪山といった具合に、様々な文脈でのアクションが見られるのでお得感がある。
終盤ではそれらの複数のシーンで同時多発的にストーリーが進展するため、混乱と興奮が混じり合った感情を覚える。

●様々な要素があるお得感
⇒サスペンスとしての色が最も強いが、上述の通りアクションも息を呑むような迫力美。主人公コブの秘密を巡るミステリ的な要素もあるし、終盤はお涙頂戴までもが用意されている。この詰合せ感、ノーラン作品ならでは。
一つの映画作品の中でこれだけの壮大な世界観を構築していることが素直に凄い。

●魅力的な俳優陣
⇒ジョセフ・ゴードン=レヴィットやトム・ハーディをこの作品で知った人も多いはず。各キャラの役割分担がハッキリしているので、ミッションに集中して見ることができる。全員が主役級の働きをする、えらく豪華な作品!
序盤の仲間集めも『七人の侍』のようでワクワクする。

●音楽
ハンス・ジマーの音楽の素晴らしさに関しては言うまでもないが…。あのゴゥンゴゥンと響くメインテーマを聴くだけで胃がキリキリと痛むような緊張感を覚える。終盤のキック連発シーンの爽快感は音楽によるところが大きい。


アクションとしてもサスペンスとしても一級品。見応えは抜群。
その難しさがクセになる傑作!
あしたか

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