めしいらず

パラダイス 神のめしいらずのレビュー・感想・評価

パラダイス 神(2012年製作の映画)
3.5
「なんとはかなく むなしいものか」。そう歌うエンドロールの曲が人生そのものを思わせて象徴的。熱心に布教活動する主人公。彼女は善きことを人に為して安らかな場所に導こうとしているのに、皆はそれを受け取ってくれない。それどころか恨み言をぶつけたり、彼女を打擲しさえする。でも彼女は善意の皮こそ被ってはいるけれど、他者の領域を土足で侵犯している。相手にとっては正しさの押し付けでしかないのだ。それは宗教の例を出すまでもなく諍いの種となる。そして善意が巡り巡って悪意に変わっていく皮肉な見せ方が嫌たらしくも可笑しくて秀逸。その矛先は神自身にさえ向かってしまうのだから。人が神を欲した先で見つけるのは、どうやらパラダイスではなく地獄であるらしい。
めしいらず

めしいらず