覚悟はしていたつもりだったが、暴力描写が私には辛すぎて、ずっと、ああ、失敗した、と思い続けながら、鑑賞した。しかし、鑑賞後、しばらく時をおいてから、ぐおぉーと、何かが胸にこみ上げてきた。
実際にあった4つの事件をもとに紡がれた、4つの物語。それぞれが独立しているのだが、細い糸で繋がっている。
暴力を振るわずにはいられないまでに、追い詰められた男、女。抑えきれない怒り、虚無、憎悪、絶望。罪から罪へと至る道のりに、印象的な映像が挟み込まれる。
道路上にあふれる大量のトマト
馭者を喪ったまま、荷車をひく馬
3本の煙草から漂う紫煙
蛇と占い師の女
放たれる金魚と
雨に打たれる小さな仏像
そして色鮮やかな京劇の舞台
炭鉱がある村の埃っぽい風も、
歓楽街のねっとりとした夜の空気も、
肌に伝わってきた。
「幸福に死ぬよりも、悲惨に生きる方がましよ」
失敗じゃなかった。辛かったけれど、観てよかった。