KUMA

胸騒ぎの恋人のKUMAのレビュー・感想・評価

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)
5.0
ドランの映画はどれもすごく私的だ。
どれだけ自分自身を曝露すれば気がすむんだろう。
母に対する想いを2作品もかけて違う角度から描くし、わたしはロランスは自分が生まれた年を物語の始まりにしているし。初めて観たドランの映画がトムアットザファームだったので、その生々しさを受け入れられない部分があったけど、遡る形で彼の映画を観てきて、大分その表現に慣れた。慣れたってかなり軽い言い方だけど、他に言いようもないし、彼の映画を軽くみているわけではない。
むしろドランのセンスには全ての作品を通して驚かされるし、また、1つのスタイルに固執することなく、どの作品も違った色を持っている。共通しているのは私的な部分と、様々な形で表現される「愛」だ。
ドラン自身がゲイであることを公言しているように、彼が描く愛の形は自由で、ボーダーレスで、だからこそ人々を惹きつける。
この作品で描かれる愛はとてもフランクで、可愛らしい、まるでウディ・アレンの映画のように親しみを感じるもの。その軽さが心地よく、スッと心に沁みてくる。万人にオススメしたいラブストーリー。
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