KUMA

ジョーカーのKUMAのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.5
キリングジョークみたいな路線を想像してたんだけど、全く違ってた。
最初から全力でぶっ壊れてた。
これまでに無いような路線のオリジンでありながら、個人的には一番説得力のあるオリジンな気がした。
でもジョーカーなら、このオリジンすらも嘘であって欲しい!

さて、肝心の中身のほうなんですが。
今作で肝となるのはジョーカーの2種類の笑いです。
特に発作からくる笑いのほうに着目しました。
あれってメタ的な視点で見たときの笑いな気がするんですよ。
そこで思い出されたのが、ジョーカーは狂人ではなく、超正常な人格の持ち主だという設定。
外部からの刺激をそのまま受容し、いわば社会の写し鏡として、人格に反映させているのだと。
だとすると、狂っているのは社会そのもので、ジョーカーの行動に対して嫌悪感を抱く、市民そのものが狂人であるということになります。
本来であれば、法やモラルが先だって、自分たちは善人であると市民は願い、生活を営むわけですが。
ジョーカーの場合、受けたものをそのまま返すため、まるで狂っているように見えてしまうというわけですね。
つまり、ジョーカーは社会に対してメタ的な、ある意味神のような視点を持ち合わせているのだと思います。
社会に根付く病巣を顕在化する役割をジョーカーが担っているわけですね。

鑑賞直後でまだ考えがまとまらないところもあるのですが、アメコミやジョーカーといったポップアイコンを使い、現実社会に問題提起をしているような映画だと感じました。
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