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それでも夜は明けるのharuのネタバレレビュー・内容・結末

それでも夜は明ける(2013年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

アカデミー賞授賞の黒人奴隷制度をテーマにした作品。自由黒人として家族と共に恵まれた生活を送っていたソロモンが、ある日奴隷商人によって白人に売り飛ばされ、それから12年間奴隷として生きることになった実話。

アメリカで未だに行われている黒人差別。その歴史を遡ると奴隷制度に行き着く。本作で描かれる黒人奴隷の環境は本当に苛酷。にもかかわらず、この制度が長く続いたのは「黒人は白人の奴隷である」という常識が、白人はもちろん当事者である黒人の意識にまで深く浸透していたから。
ソロモンを最初に買った白人フォード。彼は奴隷に対して紳士的に振舞う。ソロモンにヴァイオリンをプレゼントしたりもして、ちょっとコイツ良いやつカモー(о´∀`о)とかほのかに期待を抱かせたりもするが、実際は金に困っていて、奴隷制度をしっかり活用していたり。その優しさ中途半端です!
フォードに雇われているポールダノは予想通り嫌なやつ。とにかく彼の中では、白人である自分は黒人より偉いので、ちょっとプライド刺激されるとぶちギレ(#`皿´)ソロモンは速攻で命の危機を迎えます。
「黒人奴隷は僕の所有物」宣言をしたエップス。彼にとって黒人は人間ではなく、おもちゃ。日常的に彼らをいたぶり、もはやイカれているとしか思えない。でも当時は彼のような人間はいたって普通。だからフォードがちょっと良い人みたくなってるし。いやいやそもそも黒人は奴隷であるという前提が間違ってるから!とか誰も突っ込まない。当事者でさえ。それだけこの制度が当たり前になりすぎていた。
ソロモンが助かったのは単に運が良かっただけ。自ら積極的に動いたとかではなく、流れに身を任せた結果。彼は最後迎えが来てエップス邸を去るとき、仲間を救うことはしなかった。誰もが自分で精一杯。他者に目を向ける余裕なんかないぐらい疲弊していたんだと思う。
ソロモンを救ったブラピでさえ、あんだけ素晴らしい演説をしておきながら、いざとなるとソロモンに力を貸すことに躊躇していた。身の安全が保証されている白人が、わざわざリスクを犯してまで人を救う必要が?結果的に彼はソロモンを救ったけど、手紙の件がうまくいかなかったら手を引いたんたじゃないかなぁ。やっぱり奴隷制度は白人にとって利益こそあれ不利益は生じないわけだし、倫理的におかしいよねレベルじゃなかなか命賭けられないよね。なんだかんだ人間自分がいちばん大事なわけだし。

これまで黒人差別はおかしいぞ!って声を上げた人はたくさんいる。それなのに完全になくならないのは、長い時間をかけて人々の認識に根づいてしまっているから。私は日本人だから黒人に対する差別はあんまりピンとこないけど、無意識に違う差別はしてると思う。他者と接するときに必要なのは、みんな同じ人間なんだという意識だけなんだよね。
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