ソラアユム

ダラス・バイヤーズクラブのソラアユムのレビュー・感想・評価

ダラス・バイヤーズクラブ(2013年製作の映画)
3.8
HIVの特効薬を求め奔走した1人の男ロン・ウッドルーフの奮闘を描いたヒューマンドラマ。


当時のHIVに関する一般人(カウボーイ連中だけ?)の認識には驚かされた。
いくらネットが普及していなかったとはいえ、無知にもほどがあるような‥‥
AIDSの存在が確認された数年後ですからこんなもんなんですかね。


AZTという治療薬が開発されるがこれまた安全性に問題ありと‥‥
ロンのAZTに関する意見は概ね正しいと思います。製薬会社と医師達の癒着問題は許されるものではない。ただ、「ダラス・バイヤーズクラブ」の設立に関する政府の対応は決して悪いとは言えないと思うんです。
世界中にはHIVの治療に有効性を示す(と考えられている)薬がごまんとあったわけですが、勿論偽物もあるだろうし、危険なドラッグが含まれているかもしれない。有効性を本当に示す薬にも、どんな恐ろしい副作用があるのか分からない。
有効性を示す(かもしれない)薬を政府が認めない!っていう背景にはちゃんと理由があるのかなとも思います。

じゃあ、政府が認めた治療薬を臨床試験を繰り返し行い、尚且つ安全性が確かめられるまで待つしかないのか‼︎‥‥となるわけで。
HIV患者には安全性が確かめられるまで待つような余裕はない。そうなってくると政府側の主張と患者側の主張どちらも正しいという事になるので、この件に関しては難しい問題だなと感じます。

ロンにとっては副作用がどうだろうが関係なかったんでしょうね。
ある日突然の余命宣告。
そこからの生きたい‼︎という彼の思いが、世界中からHIV治療薬をかき集めるという無謀とも言える行動に繋がった。
そして、違法薬物と言われながらもHIV患者達に薬を捌き続けた‥‥
彼の行動が正しかったのかは別として讃えるべきものであると思います。

余命30日と宣告された男の生き様‥‥素晴らしい作品でした‼︎