OASIS

光にふれるのOASISのレビュー・感想・評価

光にふれる(2012年製作の映画)
3.8
幼い頃から目が不自由でコンクールでの出来事がトラウマとなっている青年ユィシアンが、ダンサーを夢見る女性と出会い変わっていくという話。
ウォン・カーウァイ製作総指揮。

盲目のピアニストと言えば日本では辻井伸行氏が有名だが、この映画の主人公のユィシアンと彼はルックスが良く似ている。
両者は耳が発達し類稀な才能を開花させた者同士だが、この映画のユィシアンを演じているのがプロのピアニストであるホアン・ユィシアン本人だというからその説得力は凄まじい。

彼が微笑む姿を包み込む様な柔らかい光や映像もさることながら、やはりその指が奏でる旋律が彼の見ている世界を表現しているかのように美しい。
また、彼をそばで見守る母親やおちゃらけたルームメイトらがユィシアンに向ける目線が特別なものでは無いところにも温かみを感じました。

青年は少女と出会い闇の中の光を見つけ、少女は青年と出会い目の前にある光の先へ一歩踏み出す勇気を授かる。
二人のオーディション風景が重なり合い高まって行くクライマックスは、二人が共に光に向かって翔び立つ「逆光飛翔」という原題の意味を強く感じられるシーンでした。

希望や光がまばゆいくらい溢れている映画だったが、少女のダンスよりもその師匠のしなやかな美しさの方に目が行き強く印象に残る。
ユィシアンと同様に少女にも毎日が劇的に変わる何かが欲しかったところだが、実話を元にしているという事で現実はそんなに甘くはないという点が悲しかった。
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